事務所通信 6月号掲載
ゴ ミ の 山

先日、ゴミの山に群がる13才の少女のTV番組がありました。 フィリピンの話ですが、父は殺され、母は病気で働けず、10才と3才の弟がいるという状態でした。

 向こうは病気の診断は、無料だそうですが、治療や薬は有料となっています。その少女の母は当然診断のみでした。食事は3日に1回という状態です。

 最初ゴミの山に群がるのは、捨てられた生活用品をあさりに行っているものと思っていましたが、ゴミの中から空き缶とプラスチック・ビニールを探し出し、それを業者に売って生計を立てているのです。外部から新しいゴミが入ってくると我先にとゴミに近づくため、引かれて死んでしまうこともあるようです。

 10才の弟は空き缶やプラスチック等を水で洗うくらいの手伝いはしますが、大半の作業はこの少女の手によってされていました。3才の弟は口減らしのため他に預けようとしますが、母親から離れることをいやがり、泣きじゃくり続けていました。

 結局、少女は「私がもっともっと働けばみんなで暮らせる」ということでゴミの山で遅くまで働き続けるのでした。 そういう状態ですから、英語を習いたいと思っていますが、当然学校へは通っていません。その少女の唯一の楽しみは、ゴミの山から拾ってきた英語で書かれた雑誌の切れ端を夜寝る前に眺めることなのです。

 日本ではどうでしょう。経済的な問題がないにも拘わらず、学校に行かない不登校児の話をよく耳にします。学校に行かない(行けない)のには何か理由があるのだろうと思いますが、どこかおかしいと思うのは私だけでしょうか。

 日本は確かに経済的には豊かになりました。つぎはぎの洋服を着ている子供は、ほとんど見あたりません。しかし、経済的な豊かさと引き替えに、何かを失った様に思います。

 ところで我が家では今のところ不登校は発生していません。しかし、勉強が好きだからという訳でもなさそうです。私の息子の一番好きな時間は昼食後の25分間休みで、友達と遊ぶことだそうです。

 こういう内容を書きながら、親としてこれで良いのかなと思うこともありますが、五体満足で、元気よく学校に通っているだけで充分かなとも思う今日この頃です。



   

所 長  須 田 幸 英
事務所通信 6月号掲載

     

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