須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成25年4月号掲載
旅立ち
   3月から4月にかけては、卒業、退職、入学、就職、転勤といった季節です。この時期になると平成2年4月に開業した頃のことが思い出されます。35歳の時で長女がその年の5月に生まれました。お客様もまだほとんど無く、暇な時間が多かったため毎日のように娘の成長をビデオ撮影していました。その娘も大学を卒業し、今春社会人としてスタートしました。いつまでもスネをかじられても困りますが、一抹の寂しさを感じるのは親としての宿命なのでしょうか。

 また、開業前は商工会の職員でしたので、当時から現在までお世話になった数人の方から退職の連絡を頂きました。考えてみれば私自身もそのまま勤めていれば後2年で定年ということです。開業時にはそんな歳になるなど考えてもみませんでした。開業から23年という時の経過をしみじみ感じました。

 時の経過は、私とお客様の関係でも同様で、お互いに歳を重ねています。そして、昨今「事業承継」の相談を受けることが多くなりました。
 自分ひとりの商売であれば、自分の代で終わりということもありますが、一人でも他人従業員がいればその人の人生も背負うことになるからです。
 「事業承継」においては税務の問題だけでなく、まず後継者として自分の子供に継がせるか他人に継がせるかという問題にぶつかることがあります。中小企業の場合、基本的には私は自分の子供に継がせるのが一番良いと思います。
 借入金があれば当然個人保証を求められます。一歩間違えば家屋敷を失う訳ですから他人を後継者とすることは難しいと思います。

 しかし、この後継者問題に対し松下幸之助氏は次のように語っています。「後継者の育成ということは、一番難しい問題やと思いますが、これはあんまりぼくは考えすぎたり、悩みすぎない方がいいと思うんですね。」「太閤(豊臣秀吉)をもってしても、後継者をつくれなかったというわけです。だから、後継者というものはもう自然に、これは運命ですから、常識判断で努力するという程度に考えて、自然に任さないと仕方ないと思いますな」

 旅立ちとは、着地点に向かってのスタートとも言えます。
 スムーズに着地するためには、どうあるべきか考えさせられる今日この頃です。
                所長 須田幸英
 事務所通信4月号掲載
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