須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成26年5月号掲載
配偶者控除見直し?
 最近、所得税などの負担を軽減する「配偶者控除」の見直し論議が、政府税制調査会で始まっています。
この見直しは、女性活用を成長戦略に掲げる安倍首相が「女性の就労を見直すべきだ」と指示したのがきっかけと言うことです。
この制度を廃止した場合、6000億円の税収増が見込まれるとのことです。

 所得税の配偶者控除とは専業主婦やパートで働く配偶者の年収が103万円以下であれば夫の課税所得から38万円控除できるという制度です。いわゆる103万円の壁です。
 また103万円を超えても141万円未満であれば控除額は次第に減少するものの「配偶者特別控除」という制度があります。しかし、年収130万円未満であれば国民年金の保険料を免除される(条件によっては、免除されないケースもありますが・・・)制度があります。代表例が、厚生年金加入者である会社員(夫)の妻が年収130万円未満である場合、保険料を払うことなく国民年金の加入者となります。(これを国民年金第3号被保険者といいます。)いわゆる130万円の壁です。つまり、保険料を直接負担することなく将来の年金を受け取ることが出来るのです。
 一方、個人自営業者の妻は、夫から給料をもらっているか否かに関わらず、国民年金に加入する義務があります。同じ配偶者でありながら年金保険料を払う人と払わない人がいることになります。なんて不平等なんでしょう!!
 私は、税制の論議をするのではなく、第3号被保険者を廃止して、会社員の妻にも国民年金保険料の納付義務を課すことが道理にかなっていると思います。
 厚生年金、国民年金のいずれかの加入義務が発生すれば130万円の壁はなくなるのではないでしょうか?

 ちなみに、平成23年度末で第3号被保険者は978万人いるそうです。
現在1ヶ月の国民年金保険料は15,250円で、これの12ヶ月分は183,000円です。これに978万人を掛けると1兆7897億4千万円となります。
配偶者控除を廃止するよりは、効果大です。

 専業主婦あるいは所得の少ない配偶者に対しての配偶者控除廃止はあまりに乱暴な議論で、かつ理論的ではありません。
従って、税制は現状のままで良いと思いますがいかがでしょうか?
    
                所長 須田幸英
 事務所通信5月号掲載
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