今回は、「松下幸之助 商いの心」の中から2つを紹介します。
まず、「サービス」については次のように述べておられます。
私ども子供の時分に、よく親方から教えられたのは、商売人というものは『損して得とれ』ということです。
『損して得とれ』というのは何かといいますと、今日のサービスであると思うんであります。そのサービスを適切にやっていくかいかんによって、非常に満足されるかどうかが決まる。満足されることによって、非常に松下を支持してくださるということに結びつき、繁栄するか繁栄しないかということに、結びつくと思うのであります。松下電器のすべての人は、サービス精神にこと欠いてはならない。それは、友人に対するサービスであるし、会社に対するサービスであるし、顧客に対するサービスであるし、社会に対するサービスである。いっさいがサービスから始まると考えていいと思う。
商売にはサービスがつきものである。サービスをともなわぬ商売はもはや商売ではない。しかし、これを仕方なしにやっているとしたら、これほど疲れることはない。こちらが疲れるだけでなく、お客様にも「仕方なさ」が自然に通ってしまう。サービスは相手を喜ばせるものであり、こちらにもまた、喜びが生まれてこなければならない。そうした喜び喜ばれる姿の中にこそ真のサービスがある。
また、「利益観」においては次のように述べておられます。
商売というものは、真剣勝負なんだから、得するときもあれば、損するときもある、というようなことは許されない。それはなぜかというと、真剣勝負で勝つときもあれば、負けるときもあるということと、一緒やと思うんですね。
勝つときはいいけど、負けたときは首ない時や、それと一緒やと思うんです。そういうように考えるとですね、商売というものは絶対損しないもんである。
商売はすればするほど儲かる。損は、絶対にありえない。これが商売の常道である。
「サービス」と「利益観」は一見、矛盾したもののように思われますが、これを両立させることが大切であると感じました
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